井上の研究に関する問い合わせは j_inoue[at mark]complex.eng.hokudai.ac.jp までお願いいたします.  ※ ここは研究メインのページです. 教育活動はこちら.

専門は情報統計力学です

もう少し具体的に言わせて頂きますと, スピングラス※1に代表される ランダムスピン系 --- 空間的に乱れた磁石の数学模型 --- に対する統計力学の手法や確率過程・確率論の方法を, 情報科学や統計科学, 脳科学, あるいはもう一歩ふみ出して, 大規模データ科学としての経済学/ 社会科学/データ駆動型数理モデリングなど(⇒ 例えば. この他, グループHPも参照), いくつかの分野にまたがる境界領域の課題に応用する研究をしています※2※3.

※1 原子スケールの小磁石である「スピン」の 集まりによって形成される一種の「ガラス状態」. スピンのガラス → スピングラス
※2 主にレプリカ法に代表される解析計算(手計算)に基づく研究の進め方を好みますが, 現在ではモンテカルロ法などによる計算機実験・大規模シミュレーション・多変量データ解析等を積極的に併用しています.
※3 社会科学の問題の例として陳鶴さん(D2)のHPに詳しく書かれています. 他の研究課題例はメンバー&OBのページへ.



統計力学とは物理学の主要な一体系/方法論であり, 普通は主に物理学のコース(物理学科)で学ぶことになっていますが, 最近では 多体問題に対するその普遍的な考え方や計算技法が 伝統的な従来の物理学の枠をこえて, 広く情報科学/工学, あるいは社会科学などの諸問題にも積極的に使われはじめています. 現代的問題のほとんどは, 何らかの意味で<<多体問題>>ですから, その多体問題への接近法とし最も成功し, 洗練された<<統計力学>>を足がかりにして, それら新しい問題に取り組むことは, 理にかなった研究戦略と言えます.





大学院/助手時代から一貫して統計力学とその応用に関する研究に従事していますが, その研究課題は国内外研究者, 指導する大学院生との共同研究を経て時間とともに変化しています. 現在に至るまでの主な研究テーマは

現在までの主な研究対象. 「大規模/大自由度」「多体問題」がキーワード.
  • 脳の計算モデル (連想記憶, 学習)
  • 統計力学的学習理論
  • 確率的情報処理 (画像修復, 誤り訂正符号, 移動体通信)
  • 最適化問題の統計力学 / 最適化アルゴリズム
  • 神経回路網などの大自由度非線形系の ダイナミックス
  • ランダムスピン系の相転移 / 臨界現象
  • 量子ゆらぎと量子ダイナミックス
  • 群知能シミュレーション
  • 経済物理/社会システムの数理モデリング

等であり, 上記テーマに関しては研究実績があります.

最近の成果(PDF) (2010-2012年度 基盤研究(C) 成果報告書) (※ 当初掲げた目標にはまだ程遠いので, 今後も鋭意継続します.)

※ 現在では指導院生と「共同研究する」ため, 既存情報システムの数理解析/統計力学, 新奇アルゴリズムの提案/統計的性能評価の他, グループHPに挙げた社会システムの解析, 新課題の発見と定式化にも力を注いでいます.
※ (院生との共同研究ではない)解析計算メインの研究としては, 最近になって「圧縮センシングのダイナミックス」に関する計算を開始しました.
※ 国内外の研究者と積極的な交流(Page 1/Page 2)を行っています. 指導学生にも所属の垣根をこえた研究交流を奨励しています. その結果, 所属機関を越えた国内外研究者との共著論文(Page 1/Page 2)も着実に増えてきています.




     学位論文 (HUSCAP) [博士(理学, 東京工業大学 1998), 指導教員: 西森 秀稔 教授]
     修士論文 (PDF) [修士(理学, 東京工業大学 1995), 指導教員: 西森 秀稔 教授]



     
ウィーンの中央墓地(区画C14)にある 統計力学の創始者ルートヴィヒ・ボルツマンの墓. 墓石にはエントロピーのミクロな定義式: S = k log W が刻まれている. (March 2008, 井上撮影).



5-6年前から, いわゆる [経済物理/金融データ解析] の研究も開始しました. 統計力学, 確率過程, 待ち行列理論 (Queueing Theory), および, 各種データ解析手法の経済現象 (インターネット銀行における 為替レート変動, 所得格差の問題等) への応用です. 社会システムにおける複雑ネットワークと絡んだ問題, ネットワークの構造推定(「逆イジング問題」)も含めて, これらは今後も継続して取り組んで行きたい研究テーマの一つとなっています.

左のグラフはソニー銀行の円ドル為替レート. 佐塚直也氏(ソニー), Enrico Scalas氏(東ピアモンテ大学, イタリア)との共同研究. 詳しくは ☆ 最近の研究から ・・・☆
◆ 経済物理に関する最新の研究動向やプレプリント・会議/ワークショップなどは Econophysics Forum から有益な情報が得られます.


これらのトピックに関連するシステムに共通する点は 「とても多くの要素が 集まり, それらが互いに相互作用している」 という事実です. ここで言うところの要素とは 神経回路網であれば 神経細胞, デジタル画像であれば 画素, また磁性体を例にとれば原子磁石 ( 専門用語で「スピン」と言ったりします ) にそれぞれ が相当します. さらに, もう少し 詳しく言うと, これらの要素は 確率的に動きます. 神経細胞の場合には 一つ一つの細胞 の誤動作 の結果として, 画素の場合には データ転送時の 劣化過程 として, また, 原子磁石の場合には 温度による 熱揺らぎ (より精緻なモデルでは 低温, とりわけ絶対ゼロ度の近くでは 量子力学的な効果による揺らぎも顕著になります (例えば ☆ 最近の研究から ・・・☆へ. こういう本も書かせて頂きました.) の影響として, 個々の要素が確率的に振舞うようになるのです. これらの確率的に動く要素は各々の環境下で 独立して存在する わけではないので, 確率的な要素が多数集まったシステム 全体の振る舞い -- 系のマクロな性質 ( あるいは 「熱力学的性質」と言っても良いです ) -- はどうなるのか ? という問題は自明ではありません. 磁性体の場合, このマクロな性質とは 磁石の強さなどの 物性であり, 神経回路網の場合には 学習/記憶など 脳の高次機能 を, またデジタル画像に関して言えば 画像処理アルゴリズムの性能 を指すこと になります. また, とりわけ, これらマクロな性質の中でも「各要素の確率的動作 の度合い」と 「要素間の相互作用の強さ」が競合することにより, 相転移 と呼ばれる協力現象が生じ, これが記憶や学習の問題, その他の様々な情報処理や計算機科学の問題等とも 深く関わっていて, 場合によっては 本質的役割を担っていることが最近になって次第にわかってきました(例えば ☆ 最近の研究から ・・・☆へ).



情報統計力学の様々な研究対象 〜 「脳の回路」から「就活(人材配置)」まで

上図は左から「神経回路網」「デジタル画像」「磁石の模型」「ムクドリの群れ行動」「就活生」「USD/JPY為替レート」. 共通点は確率的に振舞う多数の(知的/非知的)要素が複数の制約条件のもとで複雑に相互作用していること. 為替レートさえも多数の「ミクロな」トレーダ達の 意思決定・行動様式の「マクロな」結果と考えることができます. これらシステム(複雑系)の数理構造を詳しく調べ, 得られる知見を用いて情報処理アルゴリズムの開発/システム設計 を行っています.



☆ 比較的最近の研究からいくつか紹介します ☆   (※以下は約4-5年前の研究課題概略です. 詳細は論文等をご覧になってください. 最近では, 実データ, 実証性を意識した研究へとシフトしてきています. 詳細は情報統計力学グループHP等を参照.)


◆ 量子力学的な「揺らぎ」を用いた情報処理 ◆  ※ 最近このような本を書きました.

量子力学的なトンネル効果/現象を用いることにより, 大規模な組み合わせ最適化問題を解くことができます. この方法を温度を制御変数とした熱揺らぎを 用いるいわゆるシミュレーテッド・アニ―リング (Simulated Annealing, Thermal Annealing, あるいは Classical Annealing) に対して, 量子アニーリング (Quantum Annealing) (あるいは量子断熱発展)と呼んでいます. 確率的情報処理に 役立つ「揺らぎ」の起源 を古典的な熱浴ではなく, 「量子力学的な不確定性」にも求めることができるわけです.

左の図は QAOOM05オーガナイザ Arnab Das 氏提供による.


下の一連の図は画像修復の問題に適用した一例です (左から順番に原画像, 劣化画像, シミュレーテッド・アニーリングによる 修復画像, 量子アニーリングによる 修復画像)(注).


              



量子アニーリングは最小エネルギー状態の探索に 熱揺らぎを用いた場合の 「エネルギー障壁の飛び越え」とは 本質的に異なる原理 --- トンネル効果 --- を用いているので, この方法を様々な問題 --- 組み合わせ最適化問題, 確率的情報処理 etc. --- に応用したり, 比較的簡単/単純な系/模型を用いてその数理的側面/統計的にみた性能 を詳しく調べるてみることは興味深くあり, 工学的/情報科学的な応用としても重要です. 実際, スピングラス等を専門とする統計物理の研究者の他, デバイス関係の実験物理学者なども含め, 何人かの人々が精力的に研究を進めており, この方法に関する初めての 国際ワークショップも最近開催されました. 私自身もここ数年間に渡りこのトピックスを研究しており, 現段階でわかったことをこのワークショップ参加を機に ここ (PDFファイル@HUSCAP) にまとめてみました.




■ 量子断熱発展と量子アニーリングに関して --- もう少しだけ詳しく--- ■

量子力学的な「揺らぎ」を用いた 確率的情報処理の典型例である 量子アニーリングに基づく最適化アルゴリズムは, 量子情報/量子計算の分野では 「量子断熱発展 (Quantum Adiabatic Evolution)」 と呼ばれ, 今まで統計力学とはやや独立に 研究が進められていました. 我々は現在 (共同研究者: 和歌山高専 雑賀洋平氏), この量子アニーリングを More is different! の立場, つまり, 量子多体系としてのダイナミックスの観点から研究しています.

以下で量子アニーリングのキー・ポイントについて 可能な限り平易に(※ しかし「完全に予備知識無しで・・・」というわけには いかないかもしれません) 紹介したいと思います.

システム全体のハミルトニアン H を次のように 最適化したい目的関数の部分 (※これは例えば, 巡回セールスマン問題や 画像復元の目的関数でよい) H古典 と以下に説明する量子力学的「揺らぎ」を引き起こす部分 H(t) に分解し, 次のように 書くことにします.

H = H古典 + H(t)

このとき, H(t=0) ≫ H古典 自明な基底状態から 量子系の時間変化を決める方程式であるシュレーディンガー 方程式: ih ∂|ψ(t)>/∂t= H(t) |ψ(t)> に従ってシステムを時間発展させ, 各時刻でハミルトニアンH を有するシステムの基底状態をたどりつつ, H(t→∞) → 0 で解くべき最適化問題の目的関数 H古典 の最小エネルギー状態へとシステムを断熱的に移行させることができれば 所望の目的関数の非自明な基底状態(最適解) が得られることになります. これはシュレーディンガー方程式に 従う量子ダイナミックスを用いた 最適化になっており, 古典的に熱浴の温度を制御する ことでアルゴリズムが構成されるシミュレーテッド・アニーリングとは 本質的に異なるメカニズムに基づいています.

そこで, もう少し話を具体的にするために, 量子スピン1個の場合を考えてみましょう. この場合のハミルトニアンは次で与えられます.

H = −h σz −Γt σx

ここに, σx = (t(0,1),t(1,0)), σz = (t(1,0),t(0,−1)) はそれぞれ 量子化軸を z-軸にした場合の パウリ行列の x,z-成分であり, 最終的に最適化すべき ハミルトニアンの古典部分は H古典 = −h σz であり, ハミルトニアンの時間変化はすべて H(t) = −Γt σx の部分からくることに注意します.
このとき, 極端なケースとして Γt=0 の 場合を考えてみると, ハミルトニアン H の基底状態は当然 |↑> = t(1,0) (固有値: h), |↓> = t(0,1) (固有値: −h) であり, 逆に h / Γt=0 の場合には(※ Γth と比べて十分に大きい) これら2つの状態はもはや ハミルトニアンの固有状態ではなくて (|↑> + |↓>)/√2 (固有値: −Γ), (|↑>−|↓>)/√2 (固有値: Γ) がこのときの固有状態です. ハミルトニアンは Γt を介して時間依存しますが, パウリ行列のx-成分 σx が射影演算子を用いて σx = |↑><↓| + |↓><↑| と書けることに注意すると H(t) |↑> → |↓> , あるいは, 逆に |↓> → |↑> のようにスピンひとつ分の状態遷移を引き起こすことになり, その頻度がパラメータ Γt で制御されることになっています (※ 状態遷移 |↑> ⇔ |↓> の 確率が |<↑| σx |↓>|2 = Γt2 で与えられることになります. これがここでの量子力学的な「揺らぎ」です).  従って, Γt=0 が十分に大きな場合の 自明な基底状態 (|↑> + |↓>)/√2 からシュレーディンガー 方程式に従うダイナミックスをスタートさせ, 各時刻でのハミルトニアンの基底状態をたどりつつ (つまり「断熱的に」), かつ, 連続的に 確率振幅の中の |↑> の割合を増加させ, 最終的に Γt=∞=0 の極限で最適化したい ハミルトニアンの古典部分 H古典=−h σz の基底状態である |↑> にシステムを到達させることができれば, 所望の目的関数の最小エネルギー状態 |↑> = t(1,0) が確率1で得られることになるわけです.

さらに 具体的な数値実験でこの事実をみるために, シュレーディンガー 方程式を状態ベクトル |ψ(t)> Γt=∞=0 での固有状態 |↑>, |↓> の内積 at = <↑| ψ(t)>, bt = <↓| ψ(t)> で書き直してみると

ih ∂at/∂t = −h at − Γt bt      ih ∂bt/∂t = −Γt at −h bt

が得られます. すると上に述べたように, t=0 で, h/Γt=0 の基底状態: |ψ(t)> = (|↑> + |↓>)/√2 , すなわち, at = bt = 1/√2 と選び, Γt→0 のスケジュールを適切に選んで これらの微分方程式を数値的に解き, H古典 の基底状態との重なり |at|2 の時間発展をプロットすることで (※ t < ∞ の各時刻で仮想的に 多数回のスピン測定を 行うと |↑> あるいは |↓> での観測が確認されますが, その相対頻度がスピンが状態 |↑> に 留まる確率 |at|2 を与えます), どのようなスケジュールのときに, どの程度, システムが基底状態を追随して行けるのかを具体的に 調べることができるわけです. その結果の一例を下図に載せましょう.


上の例では量子スピンが1つだけの場合, ハミルトニアンの古典部分 H古典 の基底状態が自明な場合でしたが, もちろん More is different!, すなわち, 多体系への拡張は可能です.

例えば, この H古典 が スピングラスの平均場模型である Sherrington-Kirkpatrick 模型の場合にも同様な定式化が可能であり

H古典 = −Σij Jij ( I(1) (×) ・・・(×) σ(i)z (×) ・・・I(N) ) ( I(1) (×) ・・・(×) σ(j)z (×) ・・・I(N) )
H(t) = −Γt Σi ( I(1) (×) ・・・(×) σ(i)x (×) ・・・I(N) )

となります. ここで, I(i) はサイズ 2×2 の単位行列であり, これらの下付き添え字は テンソル積(×)をとる順序を表すものとします. 従って, N個のテンソル積をとった 結果としてハミルトニアンはサイズ 2N×2N の巨大行列になります. 先に 量子アニーリングのキー・ポイントは 「システムを自明な基底状態から非自明な基底状態へと シュレーディンガー方程式に従って断熱移行させること」 と述べましたが, このように H(t) を選ぶ限り, Γt=0 ≫1 での基底状態は自明であり, |ψ(t=0)> = Σi1 , ... , iN = ↑↓ (|i1 > (×) ・・・ (×) |iN >)/2N/2 から量子断熱発展を行えば よいわけです.

しかし, 確かに定式化まではできると言うものの, このハミルトニアンで記述される 量子系に対し, 1つのスピンの場合に行ったような シュレーディンガー方程式の数値解析をすることは 技術的にみて極めて困難です. また, Jij など空間的な クエンチ・ランダムネス(※ これらは「観測データ」としてシステムに入ってくる) に関する平均操作を どのように行えば良いかなど, 確率的情報処理特有の問題も現れます. 従って, 我々は現在, 様々なレベルの近似に基づいた システムの時間発展に関する解析/数値実験を試みています.

我々は最近, この種の量子力学的な揺らぎを用いて, ある種の誤り訂正符号の復号アルゴリズムを構成することができました.
詳細は DEX-SMI チュートリアル「情報統計力学と量子情報」講義ノート (井上担当分) をご覧ください.



(注) この量子アニーリングを用いて画像の復元を行う場合には 劣化度や画像をマクロに特徴つける 変数も同時に与えてやる必要がありますが, その際には EMアルゴリズム(Expectation Maximum, Expactation and Maximatzation algorithm) と呼ばれる 統計的な手法を用います. 詳細は解説記事 : 解説#1 (※ これは現在 HUSCAP からダウンロードできます) や 解説#2 をご覧ください.
◆ (株)サイエンス社 2006年9月号 臨時別冊・数理科学 SGCライブラリ 「確率的情報処理 と統計力学 --- 様々なアプローチとそのチュートリアル ---」の中にも解説記事 (「EMアルゴリズムと統計力学」)があります.






◆ デジタルハーフトーン処理の統計力学 ◆

新聞などでよく見かける 濃淡画像は, その細部まで凝視すると 「黒点」と「白点」の濃度や分布, 幾何学的配置を「ミクロに」コントロールすることで, ここでの 「濃淡」を「マクロに」うまく再現していることがわかります. 新聞やファックスなどは基本的に 黒一色のインクのみを使って 256階調程度の濃淡を表現/印刷しなければ ならないため, この種の基礎な印刷技術 --- デジタルハーフトーン処理 --- が必要とされているわけです. それらの既存手法としては, 濃淡画素の階調値に応じて, 黒白点を適切に分散・再配置することで 画像の解像度を上げて濃淡画像を表現するもの(網点法) や, 画像サイズより小さなブロックサイズの行列 (「Bayer行列」と呼ばれるものなど)で各濃淡画素の閾値マスク 処理を行う方法が広く用いられています.

我々は最近(共同研究者: 和歌山高専 雑賀洋平氏, 東大 岡田真人氏), このハーフトーン処理を ある種の最適化問題として捉えることで, 様々な統計力学的計算技法が適用できる 形に定式化しました. 下にご覧頂くのは, ヒトが「ミクロな」黒点と白点の幾何学的配置を 「マクロに」 濃淡画像であると認識する 際の「視覚模型」を 最も素朴なもの (ヒトは注目する画素周辺の 黒点個数に比例して階調値を認識するであろう, 周辺に黒点が多ければ多いほど 濃い色と認識するであろう, という仮説に基づく模型. まだ精密ではないが, 悪くはない仮説だと思います)に選んで エネルギー関数を組み立てた場合の ハーフトーン処理の 結果です.


濃淡画像 (解像度: 400x400) 閾値マスク

ハーフトーン画像 ハーフトーン画像の局所構造



上図はそれぞれ, 濃淡画像, 提案手法で得られた 閾値マスク, ハーフトーン画像です. ハーフトーン画像の細部に 目を凝らして見ると, 各黒点の間隔及び幾何学的配置が微妙に コントロールされることで, 濃淡階調がうまく表現されていることがわかります. 数学的模型としてみると, このデジタルハーフトーン処理は, 各黒点が時間軸上ではなく, 空間軸上に打ち込まれる「イベント」 であると考えることで, 確率過程で言うところの「点過程 (Point Process)」と して捉えることもできます. また, この組み合わせ最適化問題を解いて 濃淡画像と「認識画像」間の距離を最小化する意味で最適な 閾値マスクを決定する際には, 前述の量子アニーリングを用いることができます.

しかし, 問題としてはこれで終わったわけではありません. 事実, (ヒトにとって)どの程度ハーフトーン画像が良好であるかを評価する際には, 情報工学的見地からだけではなく, 「ヒトの視覚系の問題」としての側面 (従って, 必然的に脳科学をも含む) をも考えてゆかなければなりません. ひよっとすると今後, 何人もの被験者を募った 心理学実験を行い, 「濃淡画像としての見え方」に関する 実証的データを取らなければならない 可能性だってあります. 我々はこれらの難しい問題に段階的に取り組んでいくための第一歩として, 「ヒトの視覚系は いかに黒白点の集合から 濃淡画像を復元しているのか?」という「逆ハーフトーン処理」の問題に対し, ある種の確率場模型(磁石の数学的模型)を用いた統計力学的解析を行っています.

◆ 参考資料 : 学会講演概要  #1 (逆ハーフトーン) / #2, #3, (順ハーフトーン)  学会講演スライド #1, #2 (順 & 逆ハーフトーン, PDFファイル約1.34MB)
◆ 上の閾値マスク画像を真正面からでなく, 左下約45度から見上げてみてください. 不思議なことに レナの画像が浮き出て見えます.
◆ 逆ハーフトーン処理に関するベイズ最適性の不等式も考えてみました: 学会講演概要 #4







◆ 市場価格の変動間隔に潜む 「揺らぎ」の解析/金融データの分析に基づく実証的研究 ◆

先に脳の神経細胞やデジタル画像における単位画素, 磁石の原子磁石(スピン)などのミクロな構成要素は 確率的に振る舞い, その意味で「揺らいでいる」と述べましたが, こうした「空間的揺らぎ」とは別に, 自然界には「時間的揺らぎ」も存在します. 例えば, 高速道路の料金所に入ってくる 車の到着時間間隔は一定ではありませんし, もう少しミクロな事例として神経細胞のスパイク 間隔も一定ではなく, 揺らいでいます. また, 国債などの債券や株価, 為替レート等が変動する間隔も 一定ではなく, やはり, 揺らいでいるのです.


特徴量 / データ ISIs BUND future Sony Bank rate
平均変動間隔 <Δt> 〜 3 [ms] 〜10 [s] 〜20 [min]
変動間隔分布 P(Δt) Gamma 分布 Mittag-Leffler 分布 Weibull 分布



上表はそうした例の中から3種類の実データ: Inter Spike Intervals (ISIs: 神経細胞の発火間隔), BUND future (ロンドン国際金融証券取引所が発行する 債券 [BUND:ドイツ語でBOND(債券)] の変動間隔), ソニー銀行の円/ドル為替レート を [平均変動間隔 <Δt>], [変動間隔分布 P(Δt)] で 特徴つけて, その違いを示したものです.
いずれのデータの変動間隔 Δt も, ある変動間隔値にピーク を持つ分布(δ関数: P(Δt)=δ(Δt-Δt*)) であらわされるような 一定値 Δt* にはならず, 揺らいでいます. ここで平均変動間隔 <Δt> に着目すると, (ISIs は生体データですからともかくとして) 同じ金融データである BUND future と比べ, ソニー銀行の円/ドル為替レートの平均変動間隔は 20分前後と際立って長い間隔を持っていることが見て取れます. その理由は, ソニー銀行が 市場レート(プロのトレーダ間の取引きに よって決まる為替レート) に対し, そのレート変動幅が ± 0.1円 (±10銭) を超過した場合のみ, 為替レートの変動を顧客に提示するインターネット・トレーディング・システムを採用しているからです. このシステムはソニー銀行によってはじめて導入されましたが, 現在では, 国内外で同種のシステムを採用する インターネット銀行が増えつつあります.





この様子は上図のようになります. 青線 が市場レート で黒点 が ソニー銀行の円/ドル為替レートです. この図から明らかに, 変動幅±0.1円内に収まる 細かな変動は「粗視化」され, 結果として黒点間隔は引き伸ばされています. これがこの為替レートが数ある金融データの中でも, 約20分と長い平均変動間隔を持つ理由です. 確率過程・確率論の分野では, このようなプロセスを First-passage process (または First-exit process) と呼んでいます. 従って, このシステムを作った人は 知ってか知らずしてか, このFirst-passage process を利用してシステムを設計していたというわけです.

このとき, 顧客の立場からすると, 次のような疑問が浮かびます. すなわち, 「インターネットで 為替レートをチェックしょうとしてから 平均何分(何秒)待てば, 当のレートが変動してくれるのか?」 と. これは 一見すると平均レート変動間隔である「20分前後」となる ように思えますが, そうではありません. レート変動が完全にランダムに起こる イベントであるならば, この予想は 正しく「平均待ち時間 = 平均変動間隔」ですが, イベント間に相関があり, レート変動時系列がある種の「記憶を持った時系列」 ならば「平均待ち時間 ≠ 平均変動間隔」となります.

我々は最近(共同研究者: ソニー 佐塚直也氏), 待ち行列/応用確率論の分野における 「再生報酬定理」というものを利用して, このソニー銀行の円/ドル為替レートの平均待ち時間を 理論的に導出しました. それによると, ソニー銀行の平均待ち時間は約42分程度となります. これは実データの解析から得られる値である約49分と比べてかなり良い線 行っています(※我々は, この理論値と実データ解析値との間の 「ギャップ」(約6-7分) がどこからきて, どのようにすれば補正できるのかについても 現段階でわかっています. 詳細は今後, 会議録/論文などで公開していきます ⇒ その一部を9月の 国際会議@Ancona で発表してきます). つまり, 皆さんが, ソニー銀行に 口座を開設し, 気が向いた 時刻にインターネットから ソニー銀行のHP にアクセスし, 円/ドル為替レートを確認すると, あるときは 50分も待ってからようやくレートが変動し, あるときはたった10分でレートが変動するが, 何回もこのチェックを繰り返し, その待ち時間を平均すると, 我々の予想が正しければ(事実, 正しいのですが), だいたい42分くらいになるわけです.
我々はさらにこの理論を改良し, 待ち時間 s 自体の分布 Ω(s) を直接的に導出することで, 平均待ち時間 w のみならず, その分散や高次の統計量をも計算できるような形式に整備しました.

ここで注目すべきなのは, この平均待ち時間 [約42分] が平均レート変動間隔である [約20分] の倍以上あるという事実です. 当然, ソニー銀行の顧客は あるレート変動時刻と次のレート変動時刻 の間にログインし, 為替レートをチェックするわけですから, 「平均待ち時間 > 平均変動間隔」 となるのは不思議なことではあります. これは, 待ち行列/応用確率論の分野で "Inspection paradox" と呼ばれる現象です. レート変動間隔に「偏り」があると, 「短い変動間隔」内のある時刻に 顧客がログインするチャンスは 「長い変動間隔」内のある時刻に ログインするするチャンスと比べて 少なくなりますから, 平均をとると このような一見「パラドクス」に思える状況が起こりうるわけです.
では, ソニー銀行のレート変動間隔には 実際どれくらいの「偏り」があるかですが, 我々は社会における所得格差の指標として, 経済学で伝統的に使われている 統計量である「ジニ係数 (Gini index, Gini coefficient)」 を用いて, レート変動間隔の「偏り」を分析しました. ジニ係数は0-1間の実数値をとり, 「完全平等な社会」では "0", 「完全不平等(一人勝ち)」の社会では "1" と なるように規格化されています. ちなみに西暦2000年の統計によると, 日本のジニ係数は 0.314, アメリカ合衆国のそれは 0.375 であり, この時点ではアメリカの方がより「格差のある社会」であったことがわかります. 我々はレート変動間隔 Δt をここでの「所得」に見たて, ジニ係数 G を介してその偏りを分析したところ, ソニー銀行の場合には G=0.694 程度になることがわかりました. レート変動が完全にランダムなイベントの場合には G=0.5 となりますから, 上に述べた「平均待ち時間 > 平均変動間隔」 や Inspection paradox もこの結果から裏付けられることになります.

ところで, 工学を離れて純粋にサイエンスとして, このレート変動の確率過程から, より一般的に成立する性質を 引き出そうとすると, どうしても, ソニー銀行の円/ドル為替レートの背後にある, より「高頻度な」データの存在が気になります. つまり, 上図の青線 の確率過程です. 例えば, この青線 の確率過程 についての詳細 がわかれば, 幅 ±ε (= ±0.1円) を持つレート窓の効果もわかることに なります. しかし, 残念なことに, ソニー銀行は営利企業ですから (少なくとも経済物理学に対する慈善事業は行っていない), そのようなデータを公開していません. もちろん, そうした高頻度データが入手できれば, 工学的見地からも レート窓幅 ±ε の制御指針を明らかにすることができ, それを適切に制御することで待ち時間をコントロールし, より快適なインターネット・トレーディング・ サービスを顧客に提供することができるはずなのですが, 現段階では残念ながら(主にシステムのセキュリティ上の問題が絡むため と思われますが), そのような「より高頻度なデータ」を 入手することはできません.






そこで, 我々は 金融工学の分野で広く用いられており, レート自体の変動幅 (Y: リターン) の分布が上図のように 「すそ広がり(heavy tails)」 な GARCH (Generalized AutoRegressive Condetional Heteroscedacity) 過程と呼ばれる 確率過程を改良し, 「ソニー銀行の円/ドル為替レートの背後にある, より高頻度な市場レート はGARCH過程に従う」という仮説の下に, その First-passage process の統計的性質, 及び, レート窓の市場レートに及ぼす影響を計算機シミュレーションに よって調べる一方, イタリアの研究グループと 共同で, BTP future (やはり, ロンドン国際金融証券取引所が発行する, 中-長期満期をもつイタリア国債) についての実データ解析を進めています. さらに, より 「ミクロ」なレベルから, ここで得られるレート変動間隔揺らぎのような 「マクロ」な現象を説明するために, 計算機上に複数のエージェントを配置し, 彼らに仮想的な金融取引きをさせ, 市場レートの変動間隔を人工的に生成させることにより, その First-passage process を数値解析する 研究にも取り組み始めています.
マイノリティ・ゲームの解説 を書きました: 日本神経回路学会誌 (解説記事草稿: 3.47MB) (Vol.15 No.4 2008年12月号, pp. 272-288)

このように, この研究課題は「確率過程理論 + 実データによる検証」 から構成されており, 物理学理論にとっての「実験」に相当する役割を, ここでは「実データ解析」 が担っているのです. 従って, 研究を進めていくにあたり, [理論] と金融市場の 統計的性質が議論できるほど十分な量の [実データ] との 整合性がとても重要になっています.




◆ 参考文献: 講演概要 / プレプリント / 最近の論文 などを見て頂ければありがたいです.
◆ 比較的一連の研究 として, その背景も含めて わかって頂くことを目指して書いた会議録@ハワイをご覧下さい.
◆ 2007年度 大学院講義: 混沌系工学特論では一部この内容を詳しく紹介しましたので, その講義ノートもご覧ください.
◆ これらの金融データ/システムに関する研究は, 現在, Enrico Scalas 氏, Giacomo Livan氏との共同研究へとつながっています.






シンプルだからこそ, いろいろと使い道は多い


私は上述のような大規模システムの 示す多彩な性質を統計力学の方法, 確率過程の手法 を用いて解析/数値評価し, 画像など情報処理の問題に関しては, その性能評価にとどまらず, 得られた知見に基づき新たな アルゴリズムを開発することまでを視野に入れた研究をしています.

扱う対象は様々に異なれど相互作用が様々異なる時間スケールで 複雑に絡み合った多体系に対する有力な解析手法として統計力学の 有用性は普遍なので, 情報科学や社会科学の問題を中心にして 常に新たな研究課題を模索しています.


上記研究に関連するトピックの一部は講義でも扱っております.

研究内容に関連した講義
大学院 情報科学研究科講義 : 混沌系工学特論 /  知性創発発達特論 (※ 北海道大学オープンコースウエア のページからダウンロードできます)

北海道大学工学教育センター 支援のもと 社会人大学院教育 e-Learning 用コンテンツとして配信中です. 詳しくは 社会人教育プログラム をご覧ください.
◆ 詳細な研究内容は出版論文・プレプリント等を参照して頂ければありがたいです.



特定領域研究

現在まで, 下にあげる複数の大学 / 研究機関にまたがった研究プロジェクトに参加させて頂きました.
◆ 平成18年度-21年度 文部科学省 科学研究費補助金 特定領域研究 「情報統計力学の深化と展開」
◆ 平成14年度-17年度 文部科学省 科学研究費補助金 特定領域研究 「確率的情報処理への統計力学的アプローチ」  


当グループ最近の出版論文

以下のPDFファイル を 見るには Adobeシステムズ からフリーで入手できる Acrobat Reader を使ってください.
※ 各電子ジャーナルが閲覧できない場合は j_inoue[at]complex.ist.hokudai.ac.jp までご請求ください.


◆ 最近開催された学会/研究会/セミナー等での概要/プロシーディングス/スライド等に関しましては 不在日程 兼 講演記録 のページをご覧下さい. 書籍類は こちら.
◆ 論文の一部は北海道大学 学術成果コレクション(HUSCAP) からもダウンロードできます.




情報統計力学グループ

このグループの大目標は情報の物理学の確立です.

つまり ・・・ 高度に情報化・複雑化した現代では解決すべき問題も「複合的事象」となり, 昔と比べて格段にややこしくなっています. そのような状況下で新しい課題を見つけ, 新しい学問を創っていくためには既存の既に確立された専門分野をひたすら深めるだけでは不十分であり, ときには積極的に分野間の垣根を越えて行く勇気が不可欠です. しかし, そうした戦略で打って出るためには, 漫然と多くの異なる課題に取り組むだけではうまくいかず, 何らかの確固とした「ベース」となる体系に軸足を置きながら周辺領域を眺める必要があります. そこで我々は, 物理学/数理科学における方法論の一つである統計力学を情報科学/工学にもちこみ, 現在まで確実に成果を挙げつつある情報統計力学をよりどころにして, 情報の問題はもちろん, 今まで理科系の研究対象としては馴染みのなかった社会科学や人文科学の諸問題を, その本質から理解することを目指して日夜研究に励んでいます.

なお, 一見すると学生 & OBの各課題(テーマ)は互いに無関係で独立のように見えますが
○ 多体問題, 多体効果

○ 相互作用, 相互相関

○ 揺らぎの制御, ノイズを用いた情報処理

○ 協力現象 (collective behaviour)

○ 確率モデル, データ駆動型モデリング

○ データの可視化, データからの予測・推定
            
                The Economist (November 1997) の有名な表紙より.
些細な聞き違いによる誤情報が人々の間の<<局所的相互作用>>を介してシステム全体へと伝搬する様子.
これによって「バブル」や「クラッシュ」が起こりうる. これはある種の「協力現象」とみなせる.

等の概念/アプローチを共有しています.

従って, こうした概念を共通して有する様々なシステムを調べる一方, 情報統計力学を用いて個別問題によらない普遍性を明らかにしていくことで, いっときの流行にながされず, 時代の変化にも耐えうるような科学技術の基礎を創って行きたいというのが我々の野望です.


この目標に向かって我々のグループでは, 理論研究ならではの個人の知的好奇心に基づく自由な発想と, 利益や有用性に必ずしもとらわれない大学ならではの研究スタイルによる「エッジの効いた」新しい切り口から, 自然科学のみならず, 情報科学, 社会科学等へ, 深い数理的考察に裏付けされたアプローチで寄与すべく, 出張による時差ボケ等にもめげることなく, グローバルな視点で日夜活動しています. また, それなりの「アウトプット」(つまり, 端的にいうとそれは「学術論文」なのですが ・・・)を出す条件のもと, 各自が好きなテーマを気が済むまで追究できるところに, このグループの良さがあると思われます. 一見取っ付きにくい問題にも面白がってのめり込めるタイプの人間にとっては居心地の良いグループと言えます.




※ ちなみに, このグループの「小目標」は次のようになってます.
■ どのような分野の問題に取り組む際にも常に基本/基礎に立ち返り, しっかりとした理解を心がける. Run for cover (うまく行かなくなったら確実な地点に戻ってやり直せ :originally by
A. Hitchcock).
■ 細かく地味な作業も軽視せず, きちんと最後までやり遂げる. (大振りしないで「単打」を狙う)
■ 英語でまとまった学術論文( ≠ 講演概要(論文)集)を書く. (どんなに素晴らしい結果が出ても人に伝わらなければ「ゼロ」です. また, 素晴らしい結果ならば外国人が日本語を勉強して読んでくれるだろう, という考え方は間違ってます.)


以下, この研究グループの簡単な紹介です.


◆ 研究対象と班
いわゆる「複雑系」を含む 多数の確率的要素からなるシステム全般を対象としますが, 現在, 下記4つの研究班による活動が進められています. なお, これら4つの班は完全に独立ではなく, 我々の研究における「共通言語」である数理科学的手法や, 各班の知識やスキルが共有されることで新しい展開/ブレークスルー が図られる可能性が期待されています. (※ 下記具体例は主に現在のグループ学生, OBのテーマです. それぞれのアウトプットは学術論文やいわゆるプロシーディングスをご覧ください. 学術誌査読中の論文はたいていプレプリントとして公開してます.)

◆ 情報物理班
情報のやりとり:ベイズ推定(復元/復号/復調), 非代数的符号化, 圧縮, これらにおいて間接的/直接的に現れる最適化問題/最適化手法など, 今まで主に情報理論/計算理論が対象としてきたシステムの解析や確率的アルゴリズムの構築に<<統計力学の方法論>>で取り組みます. 情報物理班の研究は情報統計力学グループのなかでは最も蓄積のある研究課題であり, その意味で得られる結果の新規性/有用性だけではなく, その数理科学的な「深み」も同時に追究しています.




課題の具体例:
○ 量子力学的揺らぎを用いた復号アルゴリズムとその性能評価, 復号ダイナミックスの解析
○ 動画像における移動速度ベクトル場とハイパーパラメータ の平均場法に基づく同時ベイズ推定
○ GAのダイナミックス解析とギブス分布の学習
○ ランジュバン方程式に基づく事後分布の生成と確率的画像処理の計算量低減
○ 超解像など分散劣化情報の統合/協調型アルゴリズム
○ デジタル・ハーフトーニング など

さらに, 最近では大規模なデータのなかから意味あるデータを抽出することを 目的とした「圧縮センシング」「ブラインドセンシング」と呼ばれる 統計的手法を用いた研究を展開・深化させようとしています. この方法は, 実データのもつ「疎性(スパース性)」に着目することで, サンプリング定理を超える圧縮率でデータを表現でき, また, 情報統計力学の方法を用いることで, 正確に元データを復元することができます. 我々は金融など社会科学的なデータに対しても適用可能な形式に理論を整備し, 具体的課題に対し, その有効性を示そうとしています. 関連リンク: H25-29 新学術領域「スパースモデリングの深化とデータ駆動科学の創成」


◆ 経済/社会物理班
金融市場における為替レートや債券価格の変動, 労働市場における失業率や物価上昇率など, マクロな経済データの振る舞いを, 多数のミクロなトレーダ群の情報共有/意思決定の結果から統計的に説明する理論 (ミクロとマクロをつなぐ有効な「階層的」数理モデル)を構築することを目標とします. 例えば, 古くから経済学には, 経験的/あるいは過去のデータによって発見された「・・・曲線」「・・・則」などの, 「マクロな量(変数)」の間に成立する「法則」が多数存在し, それらのなかのいくつかは, マクロ経済を説明するための標準的「現象論」となっています. しかし, それらを「ミクロに」基礎づける理論や, 実データ解析から検証されるべき適用限界(条件)などは, 多くの場合, あまり議論されていません. 我々は, このような「経験則」の妥当性を<<統計力学の考え方>>に基づく数理モデルの構築と, その精密な解析や, 大規模な計算機実験などを用いて, ミクロなレベルから再検討/理解することが重要であろうと考えています. その際, 統計力学だけでなく, 再生過程や待ち行列の方法などの確率過程/応用確率論も有用な解析ツールとなります. また, 一部のマクロ経済を説明するため伝統的に用いられてきた「壺モデル」のランダムネスを含む非一様な系への拡張や, 企業間取引, 輸入/輸出間の関係性などに現れるいわゆる「複雑ネットワーク」のグラフ理論的考察もその研究対象です. 数理モデルの構築と実データの統計解析を相補的に行うところがこの研究班の特徴の一つです.




ところで, 「金融経済」に関する予測・推定というと, 兎角人々は「投機のための手法」とみる向きもあり, 研究課題としては, あまり良い印象を受けないかもしれません. もちろん, 我々の研究は部分的にはそのような用途にも寄与できます. しかし, 我々の本当の興味は, むしろ金融や経済のシステム論的理解にあります. 例えば, 現在では経済/金融システムのグローバル化にともない, 一国のローカルな経済/金融危機の影響は決してその国だけにとどまりません. 一国のかかえるリスクは様々なネットワークを介して, 他国の深刻なリスクにもなりえます. また, どんな小国の小さなリスクであっても, それがグローバルなネットワークに接続している以上, 複雑なダイナミックスの強い<<非線形性>>の結果, 思いもよらない規模の経済危機につながることもありえます. よって, 現代社会は一国で生じた局所的クラッシュが引き金となり, その危機がいわば「ドミノ倒し」的に世界全体に広がってしまう「システミック・リスク」を常にはらんでおり, それをどのように予測し, いかに分散回避(ヘッジ)していくのかは喫緊の課題と言えるでしょう. これはある種の「多体問題」ですから, そのメカニズムの数理的理解も含め, 我々のアプローチで取り組むことができる格好の題材となるのです.


課題の具体例:
○ 円ドル為替レートのfirst-passage processとそのマイノリティ・ゲームによる再現
○ 金融データの非線形解析, 階層性を考慮したエージェント・シミュレーション
○ ダブル・ オークション市場における金融商品の価格決定メカニズム, Madhavan-Richardson-Roomans 模型とその改良に基づく金融データ解析
○ 整数分割法による大規模疎グラフの生成とスモールワールド-ランダムグラフ相転移の解析
○ フィリップス曲線をミクロに検証する労働市場の数理モデル
○ 多次元尺度構成法と混合正規分布推定による金融商品の動的リスク評価
○ 社会的集団におけるコミュニケーション・レンジ: 都市形成(商業地形成)の数理モデルと実データ解析
○ 非一様な壷モデルの確率過程に基づく富の分布におけるパレート則の導出 など


◆ 群知能シミュレーション班
群知能と呼ばれる多数の動物(鳥, 魚など)の非自明な振る舞い/情報処理を個体間の相互作用から創発される多体系の自己組織化現象としてとらえ, そのメカニズムを数理モデルの解析やエージェント・ベースの大規模シミュレーションで再現/観察し, <<統計力学>>から示唆される様々な統計量を実測データと比較・検討することで, 「群れ」の本質的な 形成/行動原理とは何かを探ります. また, 得られる群知能を工学的に応用する試みも野心的な研究課題の一つです.



   
                      実際のムクドリ (Starling) の群れ (YouTubeより)


課題の具体例:
○ BOIDSアルゴリズムに基づく群知能シミュレーションにおける 異方性の創発 (ある種の空間的な「対称性の破れ」) とその解析評価
○ 異方性指標を適応値とした進化計算による最適BOIDSアルゴリズムの構築
○ 個体間相互作用の推定と逆イジング問題
○ 大規模な群れの3D実測データ収集とその統計解析(現在検討中)など

米国物理学会(APS) 統計/非線形物理グループのビデオセッションで発表した群れと異方性にするアニメーション(mp4)
※ 下に示すのは個体間の相互作用が及ぶ範囲をメトリックにとった場合とトポロジカルに決めた場合の群れの振る舞いに関するデモンストレーション → [関連する論文 (←は旧版. 現在, 再投稿へ向けてrevision中)]

 
左が「メトリック・モデル」右は「トポロジカル・モデル」(※ このページに埋め込まれた動画ファイルはavi形式です. 閲覧頂くにはお使いのブラウザにQuicktime Player 等がプラグインされている必要があります)


◆ 数理神経科学班
神経科学(脳科学)はあきらかに実証科学ですから, 実験データを無視するわけにはいきません. 実際 , 現在では脳神経スパイクの多点計測技術やイメージング技術が向上したことにより, 今まで仮説の域を出なかった多くの知見が精密に検証され, その真偽が明らかになってきています. しかし, その一方で, そうした実験データとはほぼ独立に, 神経素子やそれらのネットワークのアーキテクチャのみを与えて, そこから創発される脳の情報処理の可能性と限界を数理的に明らかにしていく研究も精力的に行われています. いわゆる「ニューラルネットワーク(神経回路網)」の数理的研究です. 我々は現在, 非線形素子である「ニューロン」を多数つなげた多体系の相転移などの協力現象やそのダイナミックス, 特殊な統計モデルとしてのニューラルネットワークの振る舞い(予測・推論・汎化など), ヒトの視覚特性を用いた画像処理などに興味があり, 「脳」を理想化された数理的対象とみなして研究してます. このように, 我々は今まで<<統計力学の技法>>を用いた脳の数理モデルの解析に研究の重心をおいて来ましたが, 現在, 井上が脳科学研究教育センターの仲間に加えて頂いており, いくつかの神経科学に関連する大学院講義も担当していることもあり, 近い将来, 生理学/心理学実験データとの整合性を考慮した実証的研究を実験家と組んでできたらと考えています.





課題の具体例:
○ 学習曲線の統計力学的解析評価
○ 想起過程のダイナミクス解析: 動的レプリカ理論(Coolen-Sherrington理論)の量子力学的拡張など



◆ テーマの決め方/指導方針など
このグループは 主に理論 (モノゴトの「理屈」を考える) 研究をしてますから, 個人で静かにじっくりと考える時間やディスカッション(研究打ち合わせ)が何よりも重要です. 従いまして, 卒研/修士課程では個々にテーマを与えて毎週打ち合わせの時間を設け, 研究の進め方から論文の書き方, 講演発表のしかたまで丁寧に「個別指導」を行います(*). しかし, 博士課程では助言やディスカッションは頻繁に行いはしますが, 基本的には(多くの研究者がそうであるように)全てを自分で行ってもらうことになります. この意味で修士課程への進学では特に条件を課しませんが, 博士課程への進学においては自分自身で研究を計画し, 遂行できることが必要条件であり, これが難しい場合には博士課程への進学はお勧めできません. 言い方を変えれば, 博士課程への進学を希望する場合は, 修士課程までの「トレーニング期間」中にできるだけ早く自立した研究活動ができるよう準備しておく必要があります.
(*注 : 「個別指導」は決して特別なことではありません. 私の知っている世界各国の第一線で活躍する研究者の研究室では, ほぼ例外なく「個別指導」です.)


※ 卒研テーマの決め方: 面白そうな論文やアイデア(**)をいくつか紹介しますので, その中から興味のあるものを選んでもらって一緒に読んでいきます. そのベースとなる 論文にある計算結果全ての追試を行い, 周辺内容に関する理解も深めながら, 新しい結果が出そうな切り口が見つかれば, それが「卒論テーマ」となります. 卒研の場合には院試面接前には大体の方向性が決まり(面接対策としても), 9月から本格スタート, 12月-翌年1月頃には何らかの結果がでるのが普通のペースです. 出来るだけ早く研究を始めればそれだけ早く結果が出て良いように思えますが, 長期的にみるとそれはあまりお勧めできません. 少なくとも, 研究室配属(3年後期)から院試までは試験対策も含めて 「線形代数/微分積分」「確率統計」「情報/応用数学」「情報理論」 「計算機プログラミング」などの基礎科目を徹底的に復習し, 基礎を固めておくことをお勧めします. 学年が進み, 専門性が強くなればなるほど基礎科目を復習するまとまった時間を確保することが難しくなるからです.
(**注 : ここで言う「面白い」というのは日常的に我々の感じる「面白い」とはやや違う意味をもつ場合があることに注意する必要があります. つまり, 誰が見ても面白そうに見えるテーマ, というのは研究テーマとしては不向きである場合があります. 逆説的に聞こえますが, その理由は, そこまで面白さが自明である場合には既に誰かがやっている可能性も高いということ. また, 初学者(研究室配属前の学生)でも取っ付き易いということは, ある段階まではすぐに到達しますが, 本格的に定量的に深く掘り下げようとしたとたん, (現在の人類が使いうる)術がみつからず, 結局, その「面白い」研究自体が浅瀬で座礁する可能性もまた高いからです. なので「面白い」というのは, いわゆる「面白い」だけではだめで, 他の研究者達が自身のテーマ(の候補)としてシリアスに受けとめて考えてくれるかどうか, そのレベルまで到達できるテーマかどうか, というのが一つの重要なポイントであり, 実は, そうしたテーマを選ぶことはプロの研究者にとっても難しいことなのです. ですから, <<適切な>>テーマの選択を学部3-4年の学生が一人だけで行うのは正直言って無理です. このことから, 我々グループはこのテーマ選択を卒研において最も重要なプロセスとして位置づけ, それに十分な話し合いの時間をかけたいと思ってます.)


修士課程で卒研テーマを続けていくか, あるいは, テーマを変えて心機一転, 別の課題に取り組むかは, 修士課程入学後に何回かのディスカッションを重ねて決めることになります.


◇ 当グループの"インフォーマルな"博士取得条件: インド・サバイバル

博士号はプロの研究者としての「ライセンス」ですから, 修士号とは異なり, 単純に決められた期間を課程在学生として過ごせば自動的に得られるものではなく, 結果が求められます. 大学や研究科が定めた基準(学術誌論文2-3本程度)をクリアすることは<<必要条件>>としてもちろんのこと, 指導教員に頼らずに自分で立案した研究計画をたったひとりであっても推進していけるだけの様々な能力/精神力の強さが要求されます. 従って, この部分に関して期待される水準は単純に論文数等で測れるものでなく, 一般的に言って指導教員の考え方に強く依存します. そこで私たちの研究グループでは, 学位申請の約1年前までに井上と10年間以上にわたって研究交流のあるインドの研究機関に約1ヶ月程度滞在してもらい, そこで現地研究者達と気の済むまでディスカッションし, 自身のそれまでの研究成果をセミナー講演 (※ある意味, これがディフェンスの「予行練習」と思ってください)という形で彼らに売り込む経験を積むことを博士取得のインフォーマルな条件とします. 聴衆のバックグラウンドに合わせて自分の研究を「売り込む」という行為は, それまでの博士課程における自分の仕事とその周辺を冷静に「客観視」できていなければうまくできないことですから, それに向けての準備はこれから博士論文を書こうとする者にとっては良い練習となることでしょう. また, インドでの研究は欧米文化に慣れ親しんだ我々にとって, かなり違和感のある環境下での活動を強いられますし, とかく(良い意味で)「アクの強い」インド人研究者のなかで自分の意見を主張できるようになれば, たいていの場合, どのような国でも生活でき, どのような人種/バックグラウンドの研究者ともある程度のコミュニケーションがとれるようになるでしょう. さらに言えば, 「セミナーで話をさせて欲しい」旨を事前にメールで打診し, 自分の研究を臆面も無く売り込むことは, その後の研究活動においてだけでなく, それからの長い人生においても貴重な経験となるはずです. また, それをきっかけに知り合った同世代の学生/研究者が日本に来た際, さまざまな場面で彼らのホストを務めることで親交が深まり, 生涯に渡った研究仲間になりえる可能性もあります (多分, こういうのがほんとうの「国際交流」と言えるのだと思います). 渡航費に関しては, 学振特別研究員の場合には自分の経費で, そうで無い場合には井上の科研費 (※ むろん, その時点で研究費をとれている場合に限る)から支給します. また, 滞在費は先方のゲストハウスなどを利用させてもらうのでほとんどかかりません. インド側へのはじめの滞在許可伺いは井上がしますが, その後の諸々は本人に行ってもらいます.

なお, その第1弾として現メンバーの陳さん(H26年度からD3)がH26年2月下旬からコルカタでの国際会議を挟んで約1ヶ月間インド滞在する予定です. 無事に帰国しました.





◆ 平成26年度のメンバーと研究テーマ (基本的にオーバーラップが無いように<<一人一課題>>)

  ※ 各研究に関する問い合わせは井上もしくは, 各学生に直接お願いいたします.
  ※ メールアドレスはアットマークのあとに complex[dot]ist[dot]hokudai[dot]ac[dot]jpです.
  ※ 下記会議録草稿の各会議HP等は
講演記録ページから辿れます.

 陳 鶴 (chen@, D3 / 学振特別研究員): 労働市場の情報統計力学: 実データに基づくシミュレータ構築による構成論的アプローチ  [修士論文: HUSCAP]
  主な出版論文:
  ○ Lecture Notes in Economics and Mathematical Systems 662, pp. 53-64, "Managing Market Complexity", Springer (2012). Go to this series. (the preprint version: arXiv:1309.5158)
  ○ Econophysics of systemic risk and network dynamics, F. Abergel, B.K. Chakrabarti, A. Chakrabarti and A. Ghosh (Eds),
   New Economic Windows 2013, Springer-Verlag (Italy, Milan), pp. 157-171 (2012). Go to this series. (the preprint version: arXiv:1309.5156)
  ○ Evolutionary and Institutional Economics Review 10, No.1, pp. 55-80 (2013). Go to this journal. (the preprint version: arXiv:1309.5053)
  ○ arXiv:1403.7370 (to appear in Springer Lecture Note series) (2014).
  主な研究発表:
  ○ Internatioanl Conference on Econophysics (ICE2011)@Shanghai, Abstract (pdf)
  ○ FSS2011@福井 講演概要集, CD-ROM, TH3-1_033 (pdf)
  ○ Proceedings of SICE Annual Conference 2011, CD-ROM, pp. 2530-2539 (2011) (pdf)
  ○ 信学技報 NLP2011-118 (2011-12)@弘前, pp.7-12 (2011) (pdf)
  ○ 信学技報 NLP2012-11 (2012-4)@伊勢, pp.55-60 (2012) (pdf)
  ○ 17th Annual Workshop on Economic Heterogeneous Interacting Agents (WEHIA2012)@Paris (2012) (pdf)
  ○ Asia-Pacific Econophysics Conference 2012@Taipei (2012) (pdf)
  ○ 進化経済学会 第17回大会@中央大学, 進化経済学論集第17号 (2013) (pdf)  
  ○ 18th Annual Workshop on Economic Heterogeneous Interacting Agents (WEHIA2013)@Reykjavik (2012) (pdf)
  ○ The 2nd Incheon-Harbin-Hokkaido Joint Workshop@札幌 (2013) (poster,pdf)
  ○ ICSG2013@札幌 (2013) (poster,pdf)
  ○ Proceedings of SICE Annual Conference 2013@名古屋, CD-ROM, pp.1556-1563 (pdf)
  ○ ESHIA Winter Workshop@Sigapore (2013) (pdf)
  ○ 25th EAEPE Annual Conference@Paris (2013) (pdf)
  ○ APS March Meeting@Denver (2014) (pdf)
  ○ SMSEC2014@Kobe (2014) (pdf).


 渡部 敏之 (watatoshi@, M1): スパース事前分布を用いた圧縮センシングにおけるハイパーパラメータ推定の統計力学  
              [卒論テーマ: 圧縮センシングに対する線形計画法の適用とその数値的性能評価]   [卒業論文(pdf)] (※近日, HUSCAPからも公開)

 木村 誠 (m-kimura@, B4): 特許間ネットワークとイノベーション  
  現在, 猛勉強中






◆ グループOBと在学当時の研究テーマ (※ 以下, 年代順. 個人HPは在学中のもの)

田伏 克巳 (Katsumi Tabushi) [H12卒研, H14修士] 
 研究テーマ(卒研/修士): 確定的アニーリング EMアルゴリズムにおけるエントロピーの非加法的拡張
 主な出版論文:
 ○ International Journal of Modern Physics B 17, No. 29, pp.5525-5539 (2003). Go to this Journal
 主な研究発表:
 ○ 信学技報 NC2002-126 (2003-1)@北大, pp. 55-60 (pdf)
 ○ 信学技報 NC2002-127 (2003-1)@北大, pp. 61-66 (pdf)
 ○ NNSP2001@Boston, USA (会議URL)
  "Improvement of EM algorithm by means of non-extensive statistical mechanics"
  Neural Networks for Signal Processing XI, David J. Miller et al (Eds.), pp. 133-142 (2001).


小山 慎介 (Shinsuke Koyama) [H12卒研, H14修士] (⇒ 京都大学 理学研究科 物理学教室 篠本研究室  ⇒ ※ 現在, 統計数理研究所)
 研究テーマ(卒研): 有限次元ホップフィールド模型
 研究テーマ(修士): 単一ニューロンにおけるスパイク間隔の統計解析

 主な出版論文:
 ○ Physical Review E 65, pp.016124-1 -- 016124-6 (2002). Go to this journal


中村 圭一郎 (Keiichiro Nakamura) [H20修士] 
 研究テーマ(修士): Barabasi-Albert ネットワーク上で定義された連想記憶模型のダイナミックス解析

稲垣 佑哉 (Yuya Inagaki) [H21修士] 
 研究テーマ(修士): 動画像における移動速度場と確率モデルの同時ベイズ推定 [修士論文: HUSCAP]
 主な研究発表:
 ○ 信学技報 NC2009-44 (2009-10)@佐賀, pp. 41-46 (pdf)
 ○ Proceedings of SICE annual conference 2010@Taipei (CD-ROM), pp. 1472-1481 (2010) (pdf)


北形 学 (Manabu Kitagaka) [H21修士] 
 研究テーマ(修士): 遺伝的アルゴリズムにより生成される遺伝子配列からのギブス分布の学習 [修士論文: HUSCAP]
 主な研究発表:
 ○ 信学技報 NC2009-45(2009-10)@佐賀, pp. 47-52 (pdf)
 ○ Proceedings of ICEC2010@Valencia, Spain --- International Conference on Evolutionary Computation (CD-ROM), pp. 295-299 (2010) (pdf) / (full version (13pages,pdf))


広瀬 泰久 (Yasuhisa Hirose) [H21修士] 
 研究テーマ(修士): 整数分割法による大規模疎グラフの生成とスモールワールド-ランダムグラフ相転移の解析 [修士論文: HUSCAP]

乗松 渉 (Wataru Norimatsu) [H22修士]
 研究テーマ(修士): 確率的画像処理におけるランジュバン方程式に基づく周辺化事後確率最大推定の構成法  [修士論文: HUSCAP]
 主な研究発表:
 ○ 信学技報 NC2009-43 (2009-10)@佐賀, pp. 35-40 (pdf)
 ○ APS March Meeting 2009@Pittsburg, USA, Abstract (pdf)


日野 光 (Hikaru Hino) [H20卒研,H22修士]
 研究テーマ(卒研): 高頻度金融データの統計的性質とそのマイノリティゲームによる再現性に関する基礎研究  [卒業論文: HUSCAP]
 研究テーマ(修士): フィリップス曲線をミクロに検証する労働市場の数理モデル  [修士論文: HUSCAP]
 主な研究発表:
 ○ Econophysics Colloquium 2009@Erice, Italy Abstract (pdf)
 ○ APFA7@Titech, Abstract(pdf)
 ○ APS March Meeting 2010 @Portland, USA, Abstract (pdf)
 ○ WEHIA2010@Alessandria, Abstract (pdf)
 ○ Internatioanl Conference on Econophysics (ICE2011)@Shanghai, Abstract (pdf)
 ○ MSMPRF2011@Chalkidiki, Greece, Abstract (pdf)


伊吹 勇郎 (Takero Ibuki) [H21卒研,H23修士]
 研究テーマ(卒研): ゲーム理論に基づくダブルオークション市場の確率モデル   [卒業論文: HUSCAP]
 研究テーマ(修士): 多次元尺度構成法と混合正規分布推定に基づく時系列相互相関解析   [修論(pdf). HUSCAPからも近日公開]
 主な出版論文:
 ○ Journal of Economic Interaction and Coodination 6, No.2, pp.93-120 (2011). Gp to this journal.
 ○ ASE Human Journal 1, Issue 2, pp. 74-87 (2012). Go to this journal.
 ○ Econophysics of systemic risk and network dynamics, F. Abergel, B.K. Chakrabarti, A. Chakrabarti and A. Ghosh (Eds),
  New Economic Windows 2013, Springer-Verlag (Italy, Milan), pp.239-259 (2012). Go to this series.
 ○ To appear in Journal of Physics: Conference Series (2013). (the preprint version: arXiv:1309.1871)
 ※ 2012年度 人工知能学会 ファイナンスにおける人工知能応用研究会 学生論文賞 受賞
 主な研究発表:
 ○ 第42回 SICE北海道支部学術講演会@北大 講演概要集, pp. 3-6 (2010) (pdf)
 ○ WEHIA2010@Alessandria, Abstract (pdf)
 ○ 第23回 自律分散システムシンポジウム@北大 講演論文集, pp. 101-106 (2011) (pdf)
 ○ First Workshop on Qunatitative Finance and Economics @ICU, Tokyo, Abstract (pdf)
 ○ Internatioanl Conference on Econophysics (ICE2011)@Shanghai, Abstract (pdf)
 ○ FSS2011@福井 講演概要集, CD-ROM, TH3-1_033 (pdf)
 ○ Proceedings of SICE Annual Conference 2011, CD-ROM, pp. 2530-2539 (2011) (pdf)
 ○ 信学技報 NC2011-106 (2011-12), pp.53-58 (2012) (pdf)
 ○ 人工知能学会研究会資料 SIG-FIN-008-04, pp.18-25 (2012) (pdf)


巻口 誉宗 (Motohiro Makiguchi) [H21卒研,H23修士]
 研究テーマ(卒研): 群知能シミュレーションによる異方性の創発とその解析評価   [卒業論文: HUSCAP]
 研究テーマ(修士): ウェアラブルな生体信号測定装置の実装と応用  [修論(pdf). HUSCAPからも近日公開]
 主な出版論文:
 ○ 計測自動制御学会論文集, 第46巻11号, pp.666-675 (2010). Go to this journal.
 ※ SCIS & ISIS 2010 Best Presentation Paper Award受賞
 ※ FAN2010 第20回インテリジェントシステムシンポジウム (20周年記念大会) 最優秀論文賞受賞
 ※ SSI2009 (計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会) 奨励賞受賞

 主な研究発表:
 ○ SSI2009@東工大, 講演概要 (pdf)
 ○ APS March Meeting 2010@Portland, USA, Abstract (pdf)
 ○ Proceedings of the Operational Research Society Simulation Workshop 2010 (SW10), CD-ROM, pp. 96-102 (2010) (pdf)
 ○ FAN10@首都大学東京, 講演概要 (pdf)
 ○ Statphys-Kolkata VII, 講演ポスター (pdf)
 ○ SSI2010@京都, 講演概要 (pdf)
 ○ SCIS & ISIS2010@岡山, 講演概要 (pdf)


日向野 隼輔 (Shunsuke Higano) [H23卒研]
 研究テーマ(卒研): 平均場イジング模型の臨界現象と時系列予測   [卒論(pdf). HUSCAPからも近日公開]
 主な出版論文:
 ○ Human Journal 1, Issue 2, pp. 74-87 (2012). Go to this journal.
 ○ To appear in Journal of Physics: Conference Series (2013). (the preprint version: arXiv:1309.1871)
 ※ 2012年度 人工知能学会 ファイナンスにおける人工知能応用研究会 学生論文賞 受賞
 主な研究発表:
 ○ 信学技報 NC2011-108 (2011-12)@函館, pp.65-70 (2012) (pdf)
 ○ 人工知能学会研究会資料 SIG-FIN-008-04 @東大, pp.18-25 (2012) (pdf)


菱川 隆夫 (Takao Hishikawa) [H24修士]
 研究テーマ(修士): 都市における居住者の確率流と住宅市場の自己組織化  [修論(pdf)//発表会スライド(pdf). HUSCAPからも近日公開]
 主な出版論文:
 ○ To appear in New Economic Windows (the preprint version: arXiv:1406.6100)
 主な研究発表:
 ○ 信学技報 NLP2012-113 (2013-1)@北大, pp.55-60 (2013) (pdf)
 ○ Proceedings of SICE Annual Conference 2013@名古屋, CD-ROM, pp.1556-1563 (pdf)


喜屋武 寛之 (Takao Hishikawa) [H24修士]
 研究テーマ(修士): テレビコマーシャル市場の確率モデル   [修論(pdf) /発表会スライド(pdf). HUSCAPからも近日公開]
 主な出版論文:
 ○ Econophysics of Agent-based Models, New Economic Windows 2014, pp. 3-26, Springer-Verlag (Italy, Milan) (2013). Go to this volume. (the preprint version: arXiv:1309.6217)
 主な研究発表:
 ○ Proceedings of IEEE/SICE Symposium SII2012@九大, CD-ROM, pp. 816-823 (2012) (pdf)
 ○ 信学技報 NLP2012-114 (2013-1)@北大, pp.61-66 (2013) (pdf)


岩山 浩将 (Hiromasa Iwayama) [H23卒研, H25修士]
 研究テーマ(卒研): データ間の相互相関を利用した北大構内の電力需要予測 [卒業論文: HUSCAP]
 研究テーマ(修士): 識別子の共起頻度に基づく凝集度遷移過程の可視化と測定 [修論(pdf) HUSCAPからも近日公開]
  主な研究発表:
  ○ 第44回 計測自動制御学会 北海道支部学術講演会@北大, (2012) (pdf)
  ○ Proceedings of NOLTA2012, CD-ROM, pp. 320-323 (2012) (pdf)
  ○ 信学技報 KBSE2013-37 (2013-9)@電通大, pp. 7-12 (2013) (pdf)


室田 光晶 (Mitsuaki Murota) [H23卒研, H25修士]
 研究テーマ(卒研): 金融危機前後の価格変動分布に現れる確率的規則 [卒業論文: HUSCAP]
 研究テーマ(修士): ペアトレードの自動化アルゴリズムとその実装: 東証一部上場全銘柄ペアに対する大規模実証実験  [修論(pdf) HUSCAPからも近日公開]
  主な出版論文:
  ○ Econophysics of Agent-based Models, New Economic Windows 2014, pp. 83-98, Springer-Verlag (Italy, Milan) (2013). Go to this volume. (the preprint version: arXiv:1309.5030)
  主な研究発表:
  ○ 信学技報 NLP2012-115 (2013-1)@北大, pp.67-72 (2013) (pdf)
  ○ Proceedings of WEHIA2014@Tiajin (pdf)



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北海道大学 大学院情報科学研究科 / 井上純一 (Jun-ichi Inoue)